前回は、二極化時代に失敗しない子育ての秘訣ということで、以下の記事を執筆しました。
この時代の教育目標は「自立心」と「自律心」を育てること。
そして、その力を伸ばすために、親が意識すべきポイントとして、
1、「他者比較をしないこと」
2、子供の持つ「幸せの価値観」を尊重する
この2つをお伝えしました。
今日は、その2つのポイントをさらに深く掘り下げていきたいと思います。
1「他者比較をしない」

親として、つい他の子と比べてしまうことは避けられないものです。特に、学校の成績が振るわないと、「このままで大丈夫だろうか」という将来への不安から、つい口出しが増えてしまいます。
しかし、現代は、SNSで常に他人の生活が目に入ってくる時代です。ただでさえ子どもたちは「自分と他人を比べる癖」がつきやすくなっています。
中学生くらいになるとスマホを持つのが当たり前になり、SNSの使用を完全に止めることも難しいのが現状です。
そんな背景がある中で、親までが他者比較を繰り返してしまうと、子どもの心の余白がどんどん削られ、自己肯定感が低下してしまいます。
それでは、他者比較の罠に陥らないためにはどうすれば良いでしょうか?
そのために、私は講演会や個別相談会の中で、保護者の方々によく次の質問について考えてもらう時間をとっています。
「この子の“変わらない良さ”は何ですか?」
というのも、思春期や反抗期に入ると、親子の衝突が増え、子どもの“いいところ”に目が向きにくくなってしまいます。
実際、子どもとの関係がうまくいっていない保護者ほど、この質問にすぐには答えられない傾向があります。
逆に、お子様のダメな点はいくらでも答えてくれます。(笑)
・整理整頓ができない
・忘れ物が多い
・約束を守れない
・計画的に勉強をすることができない etc・・
もちろん、反抗期の状態の時に、お子様の良いところに目を向けることは難しい事かもしれません。
しかし、お子様がしんどい時こそ、親が心の安定剤になってあげることが大切になります。そのためには、他者比較の罠を抜けだし、子どもの変わらない良さを伝え続けてあげることが大切になります。
2、子供の持つ幸せの価値観を尊重する

私たちはつい、「こうすれば幸せになれる」という、自分なりの人生観を子どもにも当てはめようとしてしまいます。
「安定した仕事に就いてほしい」「いい学校に行ってほしい」——それ自体は親として自然な願いです。
しかし、現代はこれまで以上に価値観が多様化した時代です。一人ひとりが、自分にとっての「幸せとは何か」を問いながら生きていく時代とも言えます。
だからこそ重要なのは、「親の望む幸せ」ではなく、「子ども自身が望む幸せ」を尊重する姿勢です。
子どもがどんなことにワクワクし、何を大切にして生きたいと感じているのか。それを、頭ごなしに否定するのではなく、丁寧に聴き、一緒に考えていく。
それこそが、現代における「信頼される親子関係」を築くための第一歩です。
ただし、子どもの価値観を尊重することは、言うほど簡単ではありません。
そもそも親子の価値観が似ていれば、親子関係のトラブルはほぼ起きないわけで、親子関係がうまくいかない原因のほとんどは、この価値観のズレから生まれます。
例えば、親が「安定した仕事・家庭・普通の人生」を“幸せ”と捉える一方で、子どもは「何者かになりたい」「自由に生きたい」「ワクワクする人生を送りたい」と考えていたとします。
この場合、親は地方国立大学を目指してほしいと思うでしょうが、子どもにはその進路にワクワク感が持てず、受験へのモチベーションも上がりません。
また、親の価値観が「上を目指すこと」「勝ち続けること」であれば、小さな頃から激しい競争の中で勝ち抜くことを子どもに求めるはずです。
けれども、子どもが「競争」「勝敗」「権威」「お金」にあまり興味を持っていない場合、その環境は苦痛でしかありません。
子供の持つ幸せの価値観を尊重するには、具体的にはそのように子どもと関われば良いのでしょうか?
そこで次回は、私が実際に現場で見てきた事例をもとに、その点について、より深く考察していきます。
ーつづくー
このブログは、
AI時代を生き抜く「自立型人材」を育成する
という私の信念を基に掲載しています。
一人でも多くの人が人間関係や自己実現の悩みが解消されることを願っています!
