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二極化時代に失敗しない子育て 実践編①

前回は、「二極化時代に失敗しない子育ての秘訣」として、

1、「他者比較をしないこと」

2、子供の持つ「幸せの価値観」を尊重すること

この2つがなぜ今の時代において重要なのかを、時代背景を踏まえて深掘りしました。

とはいえ実際に、「他者と比べない」「子どもの価値観を尊重する」といっても、そう簡単なことではありません。

特に、親自身の考える“幸せの価値観”と子どものそれに大きなズレがある場合、その葛藤はより深くなります。

そのような時、親としてどのように対応したら良いのか?

今回は、私が実際に受けたご相談をもとに、具体的な対応のヒントをお伝えします。


「勉強しないで歌手になる」と言い出した娘。どう接する?

以前、高校1年生の娘さんをもつ保護者の方から、こんな相談をいただきました。

「娘が、将来は歌手になりたいから、勉強は必要ない。だから塾も辞めたいと言って頑なになっています。私の考えと全く合わないので、いつも喧嘩になってしまいます。“勉強しても将来使わないし、やりたくない”と、取り合ってくれないんです」

夢を持つのは素晴らしい。でも、現実はそう甘くない——そんな思いから、親としては不安になります。

“現実を見てほしい”という思いから、つい感情的になり、毎日喧嘩になっているようでした。

「歌手で食べていくことが、どれだけ大変か知ってるの?好きなことだけをして生きられるほど世の中甘くないの。大人になるって、嫌なことでも頑張る力が必要なの。勉強しないのは、ただ逃げているだけじゃないの?」

後そんなふうに言いすぎてしまい、後で反省して、自己嫌悪に陥ってしまう。お母様の方も、メンタル的にドンドンしんどくなっているようでした。


コミュニケーションのすれ違いが最悪の結果に?

こうした親子の会話が続くと、娘さんの心には次第にこうした想いが芽生えます。

「うちの親は、私の気持ちなんて全然分かってくれない」

自立心が強いタイプであれば、強い反発をしてきて激しい喧嘩が日々続くかもしれません。

個人的には、喧嘩してくれるくらいが、まだ感情を出す分マシなように感じます。

逆に気の優しいタイプの方が私の経験上は怖い。一見親の言うことを聞いているフリをしても、無意識レベルで「復讐」とも言える反発をしてきます。

・勉強の成績がボロボロになる。
・何事に対しても無気力になる。
・引きこもりやSNSなどへの依存につながる

親の子供の将来を想う強い気持ちが、予期しないマイナスの結果につながってしまう可能性もあります。


STEP1 相手の幸せの価値観も理解しようと努めてみる

このズレを解消する最初のステップは、

娘の幸せの価値観も理解しようとすること」

今回のケースでは、ご相談を受けて、私が母娘それぞれと重ね、価値観の言語化するお手伝いをしました。

まずは、お母様の「勉強してほしい」という願い。その背景を整理してみると、次のような価値観が見えてきました。

・幸せとは、結婚して、子育てをし、安定した生活を送ること。

・経済的に不安定な暮らしは惨めだと感じる。

・勉強して地方国立大に行けば、安定したルートに乗りやすい

・娘は今そのレールに乗っているのに、自分から外れる必要はない

こうした思いが、お母様の根底にある「幸せの価値観」でした。


一方で、娘は、「ワクワクする人生を実現すること」にに価値を感じているようでした。

・とにかく「今を楽しんで、夢を追いかけたい」

・歌手になる夢は、若いうちしか挑戦できない

・今挑戦しなければ後悔する気がする

・「歌っているときの自分」が一番自分らしくいられる

・勉強ではその感覚を味わえない

・高校で理系科目の難易度が上がり、努力しても成果が出ず、辛くなっている

・将来は、自己実現や自己表現できる仕事をしたい

・結婚も子育てもには、今のところ興味がない

カウンセリングをすることで、娘の持つ素直な価値観を引き出すことができました。


「どちらが正しいか」ではなく「どう尊重するか」

このように、親子のあいだには「幸せとは何か」に対する認識にこれだけの違いがあったのです。

このズレを無視して、「とにかく勉強しなさい」と伝えても、娘にとっては親の価値観を一方的に押し付けられていると感じるでしょう。

その結果として、反発が強くなり、対立が深まっていくのです。

大切なのは、「どちらかが正解」という考え方を手放し、相手の価値観も一つの大切な視点として「まずは受け止める」こと。

「どちらかが正しくて、どちらかが間違っている」という前提でコミュニケーションをとってしまうと、話は平行線のままです。

身近な存在だからこそ、自分の価値観を無意識に押し付けてしまうことがあります。だからこそ、意識的に「一呼吸おいて、相手を理解しようとする姿勢」が必要です。

まずは STEP1「相手の価値観を理解しようと努める」 を意識してみてください。
その土台ができれば、次のステップへと進む準備が整います。

次回は、STEP2をお伝えします。

ーつづくー


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AI時代を生き抜く「自立型人材」を育成する
という私の信念を基に掲載しています。

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